British Music Relay



本編は、98年9月上旬に鈴木氏と佐々木(浮)がHP上でフランク・ブリツジを偶々同時にとりあげたことを嚆矢として、英国音楽について、主に野々村さんとそれがしがリレーした四方山噺をまとめたものです。



浮月斎 鈴木さんHP :古くて新しい、もしくはバリバリに新しいCDのページ その58 (98/9/6)
『イギリスの他の作曲家でもそうだが、ドイツ音楽のように起承転結がはっきりして、しかも哲学的思索を感じさせるわけではないし、フランス音楽のようにキラキラと輝く美しさを持った音楽でもない。なんか、ウネウネとノスタルジックな音楽が続いて行くという印象だが、これにはまるとイギリス音楽から抜けられなくなってしまう。ドイツやフランスではない伝統のようなものを感じる』。

概ね賛成です。但し、部分的には、

鈴木 哲学的思索を感じさせるわけではないし、
以前も述べましたが、ホルストは別格で、彼の簡潔・凝縮的な体系性はもし彼が ドイツ人なら熱狂的に崇拝された筈でしょうね。

鈴木 ウネウネとノスタルジックな音楽が続いて行くという印象。
は、「せいぜい全く面白味のないウォルトン」以前の段階かなと思います。でも、概ね英国音楽の名品は歌曲にあり、それらにはこういう印象は薄いです。

鈴木 浮月斎 概ね賛成です。(中略)でも、概ね英国音楽の名品は歌曲にあり、それらにはこういう印象は薄いです。
声楽は確かにそうですね。ただ、日本人にはむしろ分かりやすいけど、フランス人やドイツ人、イタリア人には、イギリス歌曲の良さはなかなか理解しにくいかも知れません。一つは、音楽大国は自分の国だという意識、伝統的にイギリスはクラシック音楽後進国だという意識。それと、言葉の壁やメリハリの少ないメロディラインと言うところでしょうか。でも、演奏家はロンドンで売れることを目指しますね。ロンドンを起点に世界に勇躍した演奏家は多いんじゃないかな。ロック・ポップスなら、世界の最先進国なんですがね、イギリスは。

野々村 鈴木 in HP ウネウネとノスタルジックな音楽が続いて行くという印象
浮月斎 は、せいぜい全く面白味のないウォルトン以前の段階かなと思います。でも、概ね英国音楽の名品は歌曲にあり、それらにはこういう印象は薄いです。
ブリトゥンもカーデューもファーニホーもバレットも、独奏曲〜小編成室内楽で最も才能を発揮しているのではないでしょうか。ディロンは例外で、大編成室内楽〜オーケストラ曲が面白い人ですが。
「フランス音楽」と言えば20世紀前半がピークですが、「イギリス音楽」と言えば20世紀後半でしょう (^_^)
「イギリス音楽」の最大の問題は、アカデミズムと批評がグルになっていて、P.M.ディヴィスとかバートウィッスルとかサクストンとかナッセンとかベンジャミンとかタネジとかアデスとか、くっだらねえ作曲家ばっかりが妙に持ち上げられる構造が出来上がってしまっていることなのでは。

浮月斎 鈴木 声楽は確かにそうですね。ただ、日本人にはむしろ分かりやすいけど、フランス人やドイツ人、イタリア人には、イギリス歌曲の良さはなかなか理解しにくいかも知れません。
日本人は英国詩を好む傾向がありますからね、ドイツ詩やフランス詩に比べて。私も個人的に英国詩が好きであるという理由もあります。むしろ詩の朗読とどれくらい近いかというのがポイントなのですが。ワーズワースとかキーツあたりではなくて、やっぱりブレイクとかコールリッジとかあの辺ですが...。

鈴木 それと、言葉の壁やメリハリの少ないメロディラインと言うところでしょうか。
英国の伝統はオペラというフレームから逸脱していますからね。それが大きな相違なのでしょうね。「言葉の壁」も意外に大きいようです。例えばドビュッシイがロゼッティの「選ばれた乙女」をよくまぁ使ったものだと思いましたけれど、あの人、訳詩でしか読んでいないようで...。(^^)

鈴木 でも、演奏家はロンドンで売れることを目指しますね。ロンドンを起点に世界に勇躍した演奏家は多いんじゃないかな。ロック・ポップスなら、世界の最先進国なんですがね、イギリスは。
市場という点では、ハイドンの頃からずっと最先端・巨大でしたからね。

野々村 ブリトゥンもカーデューもファーニホーもバレットも、独奏曲〜小編成室内楽で最も才能を発揮しているのではないでしょうか。
ファーニホーやバレットは室内楽がいいですね。ブリテンは後期にやたら多い合唱・声楽作品が、本人の思惑ほど成功していない気がするし、私は彼の室内楽はあんまり面白いとは思わないのですが、何かオススメありますか?

野々村 「フランス音楽」と言えば20世紀前半がピークですが、「イギリス音楽」と言えば20世紀後半でしょう (^_^)。
でも、20世紀後半の英国音楽は、鈴木さんご指摘の「ノスタルジィ」がなくなって私は残念なんですが。単に自分の勉強不足ということだけかな...。(^-^)

野々村 「イギリス音楽」の最大の問題は、アカデミズムと批評がグルになっていて、P.M.ディヴィスとかバートウィッスルとかサクストンとかナッセンとかベンジャミンとかタネジとかアデスとか、くっだらねえ作曲家ばっかりが妙に持ち上げられる構造が出来上がってしまっていることなのでは。
「アカデミズムと批評がグルになっていて」というのは、特に音楽出版の面ではなんとなくそういう雰囲気は隠見しますね。大御所ウォルトンがだいたいそうでしたから
タネジとバートウィッスルって全然つまらないです、私は。P.M.ディヴィスっつう人の作品はまだ聞いていません。

野々村 鈴木 でも、演奏家はロンドンで売れることを目指しますね。ロンドンを起点に世界に勇躍した演奏家は多いんじゃないかな
浮月斎 市場という点では、ハイドンの頃からずっと最先端・巨大でしたからね。
「身の回り」にいいものがないから、輸入品を買うことになって、するとプレミア付け放題だから儲かる、ということなのかな?

鈴木 ロック・ポップスなら、世界の最先進国なんですがね、イギリスは。
新しいものをどんどん開拓する反面、やり続ける粘りがないような....また、サイテーの流行も、イギリス発であることが多いですね。近いところではブラーとかオアシスとか、シャンプーとかスパイスガールズとか。

浮月斎 ファーニホーやバレットは室内楽がいいですね。
ファーニホーはいろいろディスクがありますが、バレットはETCETERAの室内楽作品集以外にも何か出ているのでしょうか?

浮月斎 ブリテンは後期にやたら多い合唱・声楽作品が、本人の思惑ほど成功していない気がするし、私は彼の室内楽はあんまり面白いとは思わないのですが、何かオススメありますか?
教会寓話劇(特に『カーリュー・リヴァー』)は「室内楽」と言ってもいいと思うし、無伴奏チェロソナタとかSQ3番とか、私が一番好きなブリトゥンはこのあたりです。むしろ『イリュミナシオン』みたいなのは、好きになれません。

浮月斎 でも、20世紀後半の英国音楽は、鈴木さんご指摘の「ノスタルジィ」がなくなって私は残念なんですが。単に自分の勉強不足ということだけかな...。(^-^)
まあ、「20世紀前半への反動」で、ああいう煮出し昆布みたいな音楽が量産される結果になってしまったのでしょうが、フランク・デニヤとかジェームス・ディロンとかサイモン・ホルトとか、私の好きな作曲家たちの音楽には、けっこうインティメットな抒情性がありますよ。

浮月斎 「アカデミズムと批評がグルになっていて」というのは、特に音楽出版の面ではなんとなくそういう雰囲気は隠見しますね。
「アカデミズムと出版社やレコード会社がグルになっている」のは世界中そうですが、フランスなんかでは批評は独立ですね。

浮月斎 タネジとバートウィッスルって全然つまらないです、私は。
ええ、全くひどいものです。

浮月斎 P.M.ディヴィスっつう人の作品はまだ聞いていません。
しかし、下には下がいるというサンプルです。ハーヴェイとかいうのも、これがまたひどい。

Music Todayの最終回にLondon Sinfoniettaが来ましたが、あの時のお国ものプログラムは、拷問以外の何ものでもなかった。あれと比べたら、武満が受けたのも当然かな。

浮月斎 浮月斎 ファーニホーやバレットは室内楽がいいですね。
野々村 ファーニホーはいろいろディスクがありますが、バレットはETCETERAの室内楽作品集以外にも何か出ているのでしょうか?
リチャード・バレットのことですよね?まさにそのETCETERA盤でして、他に出ていないんじゃないですか?

野々村 ブリテンは、教会寓話劇(特に『カーリュー・リヴァー』)は「室内楽」と言ってもいいと思うし、無伴奏チェロソナタとかSQ3番とか、私が一番好きなブリトゥンはこのあたりです。
SQ3番は以前も挙げておられましたね。聴いてみたいです。しかし、無伴奏チェロソナタは、かのチェロ交響曲以上に「チェロ弾き」受けしかしないように思うのですが、いかがでしょう?

野々村 むしろ『イリュミナシオン』みたいなのは、好きになれません。
私もケーゲル盤は好きですが、特別名品とも思いません。でも、ああいう方がブリテンの素直なところが出ていませんでしょうか?

浮月斎 でも、20世紀後半の英国音楽は、Syuzoさんご指摘の「ノスタルジィ」がなくなって私は残念なんですが。単に自分の勉強不足ということだけかな...。(^-^)
野々村 まあ、「20世紀前半への反動」で、ああいう煮出し昆布みたいな音楽が量産される結果になってしまったのでしょうが、フランク・デニヤとかジェームス・ディロンとかサイモン・ホルトとか、私の好きな作曲家たちの音楽には、けっこうインティメットな抒情性がありますよ。
このあたりも室内楽なんでしょうか?

浮月斎 「アカデミズムと批評がグルになっていて」というのは、特に音楽出版の面ではなんとなくそういう雰囲気は隠見しますね。
野々村 「アカデミズムと出版社やレコード会社がグルになっている」のは世界中そうですが、フランスなんかでは批評は独立ですね。
イギリスの場合、オルガン録音については批評家は馬鹿ですけれどね。歴史的楽器での録音の意義をほとんど認めていませんでしたから。他については、ちょっと思い当たらないなぁ。

野々村 Music Todayの最終回にLondon Sinfoniettaが来ましたが、あの時のお国ものプログラムは、拷問以外の何ものでもなかった。あれと比べたら、武満が受けたのも当然かな。
(爆)

野々村 野々村 ブリテンは、教会寓話劇(特に『カーリュー・リヴァー』)は「室内楽」と言ってもいいと思うし、無伴奏チェロソナタとかSQ3番とか、私が一番好きなブリトゥンはこのあたりです。
浮月斎 SQ3番は以前も挙げておられましたね。聴いてみたいです。
ショスタコ後期と『夜はかくのごとく』(ディティユ)を足して2で割ったような音楽です。さすがにアルディッティQは録音しないだろうけど....

なんか、ヴィオラが替わったそうで。どうせ、20代のなんでも言うことを聞く坊やをアルディッティ天皇が連れてきたんでしょうね。あの団体も、そろそろ見切り時かもしれません。

浮月斎 しかし、無伴奏チェロソナタは、かのチェロ交響曲以上に「チェロ弾き」受けしかしないように思うのですが、いかがでしょう?
そりゃ、バッハと比べてしまうと....でも、コダーイのアレなんかよりは、ず〜っといい曲だと思うんですけどねえ。たぶん、クセナキス『ノモス・アルファ』の次くらい。

野々村 むしろ『イリュミナシオン』みたいなのは、好きになれません。
浮月斎 私もケーゲル盤は好きですが、特別名品とも思いません。
だとすると、どういうのが「名品」なんでしょうか?

浮月斎 でも、ああいう方がブリテンの素直なところが出ていませんでしょうか?
う〜ん、ああいう妙に軽い調性音楽は受け付けないんです。ガーシュインやデューク・エリントンなら、大好きですが。

野々村 フランク・デニヤ/ジェームス・ディロン/サイモン・ホルト。
浮月斎 このあたりも室内楽なんでしょうか?
デニヤ:尺八を含む作品/ディロン:大編成/ホルト:小編成がお薦め。

浮月斎 イギリスの場合、オルガン録音については批評家は馬鹿ですけれどね。歴史的楽器での録音の意義をほとんど認めていませんでしたから。他については、ちょっと思い当たらないなぁ。
ポール・グリフィスは、こと現代音楽に関しては大馬鹿です。ただ、バルトークのモノグラフとかはちゃんとしているので、かえってタチが悪いとも言える。





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