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Hommage à Maurice Duruflé
( Calliope : CAL 9939 )
- Incipit Te Deum - Te Deum ( Tournemire/Duruflé )
- Notre Père
- Suite op.5
- Motets ( Duruflé ) et Commentaire improvisé I - IV ( Escaich )
- Hommage à Jean Gallon
- Victimae Pascali - Victimae Pascali ( Tournemire/Duruflé )
- In memoraim ( Escaich )
Cambridge Voices, Ian Massini (dir)
Thierry Escaich ( org : St. Étienne-du-Mont, Paris )
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エスケシュによる Cambridge Voices とのデュリュフレ・トリビュート (註1) が出た。自作を除くエスケシュの作品演奏は、録音ではエーベンの「Laudes」の一部しかなかったので、デュリュフレであることは勿論のこと、彼の作品演奏姿勢の理解の大きな一助となる期待も高かった。届いて欣喜し、聴いて狂喜した。結論としては、疑いなくデュリュフレの「組曲」op.5 録音の筆頭に挙げられる。私はこれまでずっと、こういうデュリュフレ演奏を待望していたのである。
デュリュフレ・トリビュートだけに、トゥルヌミール/デュリュフレのアルテルナティム (註2) あり、4 つのモテットのアルテルナティムありと多彩で、トリは彼の作品で Cambridge Voices とのコラボで締める。
まずは、トゥルヌミール/デュリュフレの Te Deum と Victimae Pascali の 2 曲について、即興的な取り戻しが完璧になされたこの凄絶さを賞揚したい。譜面を見ながら聴くと、エスケシュはデュリュフレの採譜から幾分自在であるが、元来、譜面に拘束される曲ではないわけで、この方が遙かに面白い筈だ。
「組曲 op.5」。私はこの曲を多数聴いてきたが、この作品の持つダイナミクスをこれほど徹頭徹尾引き出した演奏は、他に類例を見ない。凄絶な演奏ということでは、バージル・フォックス盤も相当だが、エスケシュの場合、そこに表現を切り替えるスイッチの驚異的迅速さが加わり、音楽をさらに激甚なものにしている。プレリュードでの跛行的音楽の不穏な感触、シシリアンヌでは対旋律パッセージが華麗に天上を舞いながらも、玄い天使の飛翔である。トッカータでは、部分螺旋が壮大な螺旋を形成していくような破格の求心力と力の放出を感じ、演奏時間の割には大変快速な印象を持った。激流と静粛な深淵とが頻繁に交差する濃厚な音楽が産まれ、快哉を叫びたい思いである。
これで「組曲」については、 1. エスケシュ、2. フォックス、3. ラトリ、と私的ベストができあがって了った。大林さんの意見では、フォックスによる「シシリアンヌ」は対旋律の美しさがピカイチの由。併せて聴いてみたのだが、その点、全く同感である(この録音はいずれ別途触れる (註3) )。
また「4 つのモテット」の応答即興も見事。1 曲目「Ubi Caritas」後の模倣的応答即興も愛らしく洒脱。最後のそれは、4 曲を回顧しながら壮麗に、激しく終結する。全体、リズム感も卓越しているが、特に息づかいの独特さ、とりわけ情念の起伏が尋常ではなく豊かというべきだ。音のパレットは、ハキムよりは仏国トラディショナルな音栓技法を徹底して体得しているという感覚に思える。
こうしてみると、比較聴きしたわけではないが、今まで筆頭にしてきたラトリ盤は技巧も万全でうまいのだが、スマートすぎて却って失っているものが多いとすら感じた。エスケシュのデュリュフレは、しっかり濃厚な音楽であることが嬉しい。 (註4) まことに鬼才と言うに相応しい人である。
最後に余談になるが、「Hommage à Jean Gallon( = Chant donné )」はここではオルガンではなく、無歌詞声楽で演奏されている。改めて、オルガンよりこの方が全然宜しいと思った次第。
■ 註 ■
(註1) Cambridge Voices とのデュリュフレ・トリビュートには、実は先行的録音がある。エスケシュはワルニェともに、以前、Herald でマッシーニの作品( La vie éternelle )を録音していた。尤もこの作品では、オルガンが殆ど顔を出さないのが残念である。或る意味では、当エスケシュ盤は、この続編のような意義となるのかもしれない。なお、下記盤については、ポ堂・音盤買物記(2001.05)で触れた。

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Duruflé : Requiem etc.
( Herald : HAVPCD 234 )
- Duruflé : Requiem op. 9
- Duruflé : Notre Père
- Massini : Déploration sur le nom de Duruflé
- Massini : Puisses-tu, ô Seigneur
- Massini : La vie éternelle *
Cambridge Voices etc.
Ian de Massini (dir)
Vincent Warnier, Thierry Escaich * (org : St. Étienne-du-Mont, Paris)
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(註2) デュリュフレ採譜のトゥルヌミールの「5 つの即興」をアルテルナティムで演奏しているのは、他には下記、スーザン・ランデイル盤だけである(うち、典礼主題と関係のある 3 曲のみ)。但し、4 つのモテットのアルテルナティムによる録音は、エスケシュ盤が初めてと思われる。当盤については、ポ堂・音盤買物記(2001.04)で触れた。

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Susan Landale plays Tournemire
( Calliope : CAL 9936 )
- Te Deum laudamus
- Ave maris stella
- L'Assomption from " L'Orgue mystique " nº 35
- Petite Rhapsodie improvisée
- Cantilène improvisée
- Victimae paschali laudes
Ensemble grégorien Magnus Liber
Susan Landale (org : St. Étienne, Caen)
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(註3) バージル・フォックスの録音については、別途「フォックスの仏国風琴音楽集 (2003.02)」で触れる。
(註4) 当初「エスケシュのデュリュフレは、しっかり脂ぎっているのが嬉しい」と書いたが、何度か聴いてみて、訂正する気になった。実のところ「脂ぎっている」というよりは「濃厚である」が一番のようだ。(2002.01.29)
■ 関係作曲者 ■
- Maurice Duruflé については、こちらを参照
- Thierry Escaich については、2003.01 (1)の「関係作曲者」を参照
■ 関係風琴 ■
- Saint-Etienne-du-Mont 風琴については、こちらを参照。
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