Fournet's 4 Fauré Requiem Recordings





EPIC : LC 3044 ; LP
Fauré : Requiem op.48
( EPIC : LC 3044 ; LP - Original is PHILIPS - )
  1. Fauré : Requiem op.48
Pierrette Alarie (sp), Camille Maurane (br), Maurice Duruflé (org), Choeur Elisabeth Brasseur, Orchestre des concerts Lamoureux
Jean Fournet (dir)

[ Recording : 25 and 26 Jun, 1953 : St. Étienne-du-Mont, Paris ]
PHILIPS-JP : PFCP-9568 ( 420 707-2 )
Fauré : Requiem op.48
(PHILIPS-JP : PFCP-9568 [ 420 707-2 ] )
  1. Fauré : Requiem op.48
  2. Fauré : Pavane op.50
  3. Fauré : Suite " Pelléas et Mélisande "
Elly Ameling (sp), Bernard Kruysen (br), Daniel Chorzempa (org), Netherlands Radio Chorus, Rotterdam Philharmonic Orchestra
Jean Fournet (dir) etc.

[ Recording : March, 1975 : Philharmonic Hall, Rotterdam ]
KOCH : 3-1619-2
Fauré : Requiem op.48
(KOCH : 3-1619-2 )
  1. Martin : Maria Triptychon ( 1967/8 )
  2. Fauré Requiem op.48
Edith Mathis (sp), Kurt Widmer (brt), Wolfgang Schneiderhan (vn), Heiner Kühner (org), Luzerner Festwochenchor, Schweizerisches Festspielorchester
Jean Fournet (dir)

[ Recording : August, 1984 : Kunsthaus, Luzern ]
CAMERATA : 25CM-563
Fauré : Requiem op.48
(CAMERATA : 25CM-563)
  1. Requiem (ver. 1893 / Revised Edition 1994 by Nectoux et Delage) op.48
  2. Messe Basse
Naoyoshi Kamata (br), Tadasuke Mizutani (boy-sp), Mitsuyo Kinumura (org), Naoko Yoshino (hp), The Little Singers of Tokyo and Male Chorus [Japan Fauré Society] , Orchestra [Japan Fauré Society]
Jean Fournet (dir) etc.

[ Recording : 6 & 7 November, 1998 :
Chapel of International Christians University, Mitaka, Tokyo ]



フルネには、フォーレの「レクイエム」の正規録音が 4 種ある。
(1) 53 年録音のラムルー管盤、 (2) 75 年録音のロッテルダム・フィル盤、(3) 84 年のルツェルン音楽祭のライブ録音、 (4) 98 年、日本フォーレ協会盤( 1893 年版使用)である。フルネという指揮者の長いキャリアの軌跡を representative に測り得る、ひとつの重要な鍵鑰となろう。

[盤咄 1 ]ラムルー管盤。 Philips のオリジナルは 10 吋盤であるが、其れは聴いていない。80年代に EPIC 盤を中古で入手するも黴で駄目になり、テープで代用。 Philips で「カミーユ・モラーヌ」 2 枚組 CD が出たそうだが、知らずに買えず。各所に attack をかけるも失敗。其の後、 Philips の国内廉価盤を中古屋で拾い、代用。やっと最近 EPIC 盤中古を再び。モニター盤は此の EPIC 盤。 Philips のオリジナルは値が張るので、盤質・音質を考えると、中古で見つけられたなら、 EPIC 盤は reasonable purchase といえる。

端正かつ、緻密に磨かれ、洗練された霊感を清澄に引き出した演奏と思っている。此の頃のフルネの棒の特徴がよく顕れていると言える。だが、如何せん合唱の透明度が宜敷くない。

[盤咄 2 ]ロッテルダム・フィル盤。Philips のオリジナルは LP だが、同じく其れは聴いていない。 Philips の国内廉価 LP 盤が出た辺りに初めて買う。多分、フルネとしては此の録音が、最も流布した筈である。最近、 CD 廉価シリーズが出た機会に、モニター盤を此の CD 盤とする。

解釈はラムルー管盤の延長上にあり乍らも、安定しつくした臭いが逆に鼻につき、私にはうまく馴染めなかった。ただ、録音の所為もあろうが、実によくオルガンの響く演奏である。

[盤咄 3 ]ルツェルンのライブ盤。オリジナルは同じく KOCH だが LP であった。 CD 盤が吾がモニター盤である。確かバークシャーで枚数足しの為に買ったと記憶している。

ロッテルダム盤でのクリアさと渋い芸当はその儘ながら、音楽はさらに水の如く澄明度を高め、静謐と詩的官能とが、ふくよかに空間を盈たしてゆく。合唱とオケが一部音程が悪い等の瑕疵はあるが、「 Agnus Dei 」後半など、全く力まず恬淡としながらも、奥行きの深さが自然に発出してくる。

[盤咄 4 ]日本フォーレ協会盤。オリジナルが此盤。

フルネ、齢 85 歳。しかも 1893年 版だという。フルネたっての希望で、日本フォーレ協会のお膳立てで、98 年 11 月に録音されたものである由。彼の録音で他録音との明確な特徴は、恬淡たる端正な佇まいの中で磨き上げたコーラス、オルガンの明確な輪郭である。まるで人脂に塗れぬ、一切の夾雑物を廃してゆきながら、逆に暖かな温もりある音楽へ進む過程であるように思われる。しかし、2 度目・ 3 度目の録音では、寧ろ其の温もりと安定化が、フォーレの持つ本性を鑑みれば、私的に腑に落ちなかった。だが 4 度目のフルネの境地を聴くと、彼の射程が明確に理解できたのである。

53 年のラムルー管( Philips )に始まり、75 年、84 年と通して聴いてきた者として、彼が何に拘泥してきたのかを考えてみる。ふたつのことを思った。

第一に、フルネは最初から、1893 年版の楽音の理想に着眼していたのではなかろうかということ。

まず、徹底した合唱の扱い。フルネは、最初から少年+男声によるコーラスを希望したらしい。此は 84 年のルツェルン盤で大筋示されていた志向である。必要以上の表情を施さぬ。暗さを暗く、只管に静安を静安に描くだけなのだが、特に此の「 Offertoire 」の淡々とした佇まいなど、其の美しさはどうであろう。
次に合奏。 1893 年版はビオラをディビジし、木管を加えぬ室内合奏版だが(バロックティムパニは意外)、此がオルガンの音色と非常にきれいに溶け込む。ヘルヴェヘ盤でも証左済みだが、此迄のフルネの録音が、他録音よりオルガンが明晰に鳴る理由も、底流はここにあったかと感じる。また、徹底して大きな抑揚を抑え、インテムポを遵守。さらりと流れゆくところに、逆に深い感傷も生まれくる。

第二は、版と演奏実態への拘泥に、私はペーター・マークの近年の録音−特にモーツァルト−と同じような姿勢を感じたこと。

時代考証と己が音楽との止揚。自分が理想とする演奏をやるための徹底した追求。其れには、もはやメジャー・レーベルであるとか、よきソリスト、オルケストラの選定などという、徒に金の掛かるばかりの前梯は不要なのだ。マークもフルネも、共に高齢にありながら、なおも意欲的に自分の希望を貫徹、実現に運んだ姿勢には襟を正さざるを得ない。

慥かに演奏水準は、完璧とは言えない。オルガンも最低。しかし、此程明快な主張を持つ仕事もなかろう。我々が本当に聴きたい音楽や演奏も、斯様なものではなかったか。フルネという渋い仕事人の到達点が奈辺へ着地するのか、尠くとも其の道標がはっきり見えた壱盤ではなかろうか。

( 1998.11 / 1999.03 / 2000.05.11補筆・改編 )







Back to die eiserne brigade
Back to regarding onban
Back to index.htm