4.

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Brahms : Piano Concerto No. 1 & 2
( EMI : 5 68923 2 ; 2CDs )
- Piano Concerto No. 1 in d minor op. 15
- Piano Concerto No. 2 in B-flat major op. 83 etc.
Martino Tirimo (pf)
London Philharmonic Orchestra
Kurt Sanderling (dir)
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これは 2 枚で 1500 円程度の廉価盤なのだが、こういういいものが廉価で転がっているのは嬉しい限り。何年か振りに 2 曲続けて聴いたが、先日のブラームスの交響曲全集同様、耳の至福だ。ザンデルリンクのバックの面白さに尽きる。恰幅よくたっぷり重厚な響きと柔和な抑揚、屹立する音の壁の生々しさ。
私は、第 2 番の方が好きなのだが、この第 1 番もとてもよかった。特に冒頭のこけおどしが、そのとおり凄まじい気迫に驚かされる。だが、全体、響きの地は厚く豐かな浪漫がある。第 2 番も木管の染み透るような掛け合い、弦の分厚い響きが素晴らしい。この頃のロンドン・フィルの弦は、とてもふくよかで心地よい。
[附記 : 020414]
これ以降、この盤を聴き直したこともないのでわからぬが、この頃、ザンデルリンクのような響きの厚く丁寧な演奏に対して、素直に感激していたようである。しかし、ザンデルリンクがフィルハーモニア管とベートーベンの交響曲全集を録音したのも、恐らく、このあたりと思うが、響きの割には内容が中途半端だった記憶がある。
3.

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J.S. Bach : Goldberg Variations
( FIREBIRD : KICC-110 )
- J.S. Bach : Goldberg Variations
Mari Kumamoto (pf)
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ピアノによるゴルトベルクは、それほど好きでもないが、前から聴いてみたいと思っていた熊本マリ盤を聴く。なるほど、これは濃厚な香りある演奏である。
そもそも、この女性について何も知らない。解説にすら、本人のことは何も書かれていない。ストレートな感性を昇華させ、パッションに満ちた音の生と表現力である。むしろ理知的にセーブしたような演奏よりも好ましい。慥かに、幾分あり余る表現力が、各変奏の緻密な構造を違う力で引っ張ってしまう感もなくはないが、ニュアンスの微細な変化を追い求める姿勢とは違う、闊達な表現力の方が勝っている。
2.

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Karol Szymanowski : Symphony No. 1 & 2
( NAXOS : 8.553683 )
- Symphony No. 1 F minor op. 15
- Symphony No. 2 B flat major op. 19
Polish State Philharmonic Orchestra
Karol Stryja (dir)
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Karol Szymanowski : Symphonies No. 3 & 4
( NAXOS : 8.553684 )
- Symphony No. 3 "Song of the Night" op. 27
- Symphony No. 4 "Symphonie Concertante" op. 60
- Concerto Overture op. 12
Polish State Philharmonic Orchestra
Karol Stryja (dir)
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Karol Szymanowski : Stabat Mater, Symphony No. 3
( EMI : 5 55121 2 )
- Stabat Mater op. 53
- Litania do Marii Panny op. 59
- Symphony No.3 "Song of the Night" op. 27
Elzbieta Szmytka (sp), Florence Quivar (ms)
Jon Garrison (tn), John Connel (bs)
City of Birmingham Symphony Orchestra, CBSO Chorus
Simon Rattle (dir)
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Karol Szymanowski : String Quartet No. 1 & 2
( DENON : CO-79462 )
- Szymanowski : String Quartet No. 1 C major op.37
- Szymanowski : String Quartet No. 2 op.56
- Webern : " Langsamer Satz " for String Quartet (1905)
Carmina Quartet
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この夏はシマノフスキにはまりそうだ。実にいい。毎夜子守り歌がわりに聴いている。
Naxos のシリーズのうち、交響曲の 2 枚、かなり以前からお蔵入りしていたラトル盤、そして弦楽四重奏曲も聴きたくなり、第 1・2 番とも揃ったカルミナQ盤を聴く。第 3 番ばかりご贔屓していたため、実のところ、交響曲を全曲通して聴くのは初めてであった。はっきり言って、第 1・2 番は、少々力づくで片づける感があり、仕上げが荒いのが気になる。曲の中に無理に頂点を作らなくともいいように感じる。第 3 番は逆に漂う深い情緒が、第 4 番は細やかな書法の面白さとコンチェルタンテな魅力が、各々今ひとつの感あり。オケの力量の限界もあろうが、ラトル盤と第 3 番を比較すると、どうしても音楽の微細な品位に欠けるのは仕方ないところ。
第 3 番「夜の歌」は、ハーフィズ同様、中世イランの詩人・神秘主義者ルーミーの詩によるものである。ルーミーについては、故井筒俊彦大先生の訳した『ルーミー語録』を学生の頃より愛読しているが、それは所謂「精神的マナスゥイ」の側面であって、詩の方についてはよくわからない。しかし、ルーミーの『シャムス・タブリースゥイ詩集』は、詩と神秘主義との窮めて高次なる内面的合一をなし、名状しがたいリズムがあるという。彼は神秘主義体験を詩に置き換えたというのではなく、詩的体験こそ、彼にとっての神秘主義体験の由。
シマノフスキは、ミチンスキのポーランド語訳によってこの作品を愛で、作曲したが、彼の東洋趣味の範疇は、ハーフィズやルーミーという選択をとっても、同時代の音楽家のそれに比べ、杳かに高い文学的趣味が隠見している。しかも、その作品の出来ばえ自体が非常に素晴らしい。ラトルの指揮は、濃厚な彼の東洋への憧憬を妖艶な色合いだけに染めず、複雑・繊細な音の紋様を緻密に織り込んでいくかの如しである。特にそれが「スターバト・マーテル」で存分に表現されていよう。ラトルはしかもラテン語ではなく、ポーランド語のテクストで演奏していることも、彼の作品理解の度合いを示している。
最後に、カルミナQによる弦楽四重奏曲第 1・2 番。両曲ともカプリングされた録音は思っているほどない。どちらかというと、第 2 番の方が単独で録れられることが多いようだ。やはり作品の詩情も、第 2 番の方がよりシマノフスキらしい深い色合いとなっている。カルミナQについては、私は何も知らないのだが、やや明るめの乾いた音で、モダーンな色彩を見せる。シマノフスキに特徴的な叙情性を考えると、もう少しひんやり湿り気のある肌触りがいいと思うが、この味わいも悪くない。
1.

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Karol Szymanowski : Songs with Orchestra
( NAXOS : 8.553688 )
- Love Songs of Hafiz op. 26
- Songs of the Infatuated Muezzin op. 42
- Songs of a Fairy-Tale Princess
- Roxana's Song from «King Roger» op. 46
- Three Song after a poem by Jan Kasprowicz op. 5
Ryszard Minkiewicz (tn), Jadwiga Gadulanka (sp), Barbara Zagórzanka (sp), Anna Malewicz-Madej (alt)
Polish State Philharmonic Orchestra
Karol Stryja (dir)
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Karol Szymanowski : Stabat Mater
( NAXOS : 8.553687 )
- Stabat Mater op. 53
- Veni Cretor op. 57
- Litania do Marii Panny op. 59
- Demeter op. 37b
- Penthesilea op. 18
Jadwiga Gadulanka (sp), Krystyna Szostek-Radkowa (cnt), Andzej Hiloski (br) - 1 ; Barbara Zagórzanka (sp) - 2 ; Anna Malewicz-Madej (alt) - 4 ; Roma Owinska (sp) -5
Polish State Philharmonic Orchestra & Chorus
Karol Stryja (dir)
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Karol Szymanowski : Harnasie
( NAXOS : 8.553686 )
- Harnasie (Ballet Pantomime) op. 55
- Mandragora (Pantomime) op. 43
- Etude for Orchetra in B flat Minor op. 4-3
Polish State Philharmonic Orchestra
Karol Stryja (dir)
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Karol Szymanowski : Violin Concertos
( NAXOS : 8.553685 )
- Violin Concerto No. 1 op. 35
- Violin Concerto No. 2 op. 61
- Nocturne and Tarantella op. 28
Konstanty Andrzej Kulka (vn : No.1)
Roman Lasocki (vn : No.2)
Polish State Philharmonic Orchestra
Karol Stryja (dir)
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シマノフスキは作者が非常に好きな作曲家の一人だ。ヴァイオリン・ソナタなど初期の濃厚な後期ロマンチシズムに溢れた作品もいいが、特に調性の臨界に達してから無調へと転換してゆく頃の作品群が最も好きである。ポーランドの民族色を云々する人は多いが、そういう血の色彩の濃厚さもさることながら、複雑・繊細なテクスチュアの合間から発出する妖艶な濃霧の如きエクスタシィが鬱々と明滅するのがいい。そしてシマノフスキほど「夜」の情感を神秘的な色彩で醸し出す作曲家はいないだろう。仮に音楽における神秘主義なるものを言い得るとすれば、シマノフスキもそのひとりであろう。色をとことん消し込んでいきながらも、熾火のように燃えるパッションと無底なる叙情がそこにはある。
かつての EMI による「管弦楽曲集」以後、シマノフスキの纏まった企画が少ないことは、かねてより不満であった。NAXOS がそのシマノフスキの作品群をまとめて出し始めているのは「熱烈歓迎」だ。慥かに provincial な演奏家を使ってはいるが、どれも質的に卓れたものである(メジャーな人でシマノフスキを録れているのはラトルくらいだろう)。この原盤は、Marco Polo 音源である。この価格でシマノフスキの主要作品が聴けるのであれば、安いものだと言えよう。ここに挙げたもの以外では、交響曲(第 1 番〜第 4 番)やピアノ作品集も出ており、いづれ聴いてみたいと思う。さすがにヴァイオリン協奏曲は、他にもレベルの高い演奏はあるので、我がリコメンデーションは「オーケストラ歌曲集」と「スターバト・マーテル」の 2 枚である。
前者では、ハーフィズのテクストによるラブ・ソングスが特に素晴らしい。今世紀初頭の音楽における東洋趣味的位相を求むれば、マーラーの「大地の歌」(中国)、ツェムリンスキーの「叙情交響曲」(インド)などが挙げられるが、私的には 14 世紀ペルシャの詩人ハーフィズ(平凡社の東洋文庫に『ハーフィズ集』があるので是非ご一読されたい)による歌曲の夢幻溢れた詩情こそ、最も素晴らしい作品であると思う。しかも興味あることに、このテクストを編輯・出版した人こそ、あのハンス・ベトゥゲ(「大地の歌」のテクスト編輯者)である。この頃の作品には、まだ浪漫主義的色合いと芳香が漂い、まさに異境に聴き手を誘う。
今世紀、「スターバト・マーテル」の名の下に作曲された作品のうち、シマノフスキのそれはプーランクに並ぶ傑作であると考える。繊巧に織り成される音と詞からたなびく神秘的な香りに盈ちた名作で、これまたシマノフスキ贔屓の私にとっては、プーランクのそれをも凌駕する名作と確信している。変幻し、微細な情感が静かに濃厚に空間に瀰漫してゆく玄(くろ)い浪漫と憧憬たち...
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