Wagakokoro no Ressentiment / 1997.01


3.



BERLIN Classics : 0031702


Schostakowitsch
( BERLIN Classics : 0031702 )
  1. Symphony No.1 f-moll op. 10
  2. Suite aus der Oper " Lady Macbeth von Mzensk "
Rundfunk Symphony Orchester Leipzig
Herbert Kegel (dir) - 1
Dresdner Philharmonie
Karl von Garaguly (dir) - 2


Capriccio : 10 095


Brahms : Ein Deutsches Requiem
( Capriccio : 10 095 )
  1. Ein Deutsches Requiem op. 45
Mari Anne Haeggander (sp), Siegfried Lorenz (br)
Rundfunkchor Leipzig
Rundfunk Symphony Orchester Leipzig
Herbert Kegel (dir)



先日、やっとガラグリの「ムツェンスク郡のマクベス夫人」組曲を見つけた。ガラグリの棒は結構冴えている。60 年代の録音にも拘わらず、きびきびした音と表情を持ったオケの音に惚れ惚れしてしまう。この時代の東独のオケの音とは思えない鋭敏な演奏だ。残念ながら、カプリングはガラグリの指揮ではない。ケーゲルという指揮者については、ストラヴィンスキーの「カルタ遊び」以外に聴いたことがなかったため、特に期待もせず聴いてみた。交響曲第 1 番そのものもあまり聴いていないが、ガラグリ以上にシャープというか、どこか凄惨な迫力のようなバイアスを持つ不思議な魅力がある。

そこで、購入してから積んだままになっていたブラームスの「ドイツ・レクイエム」も聴く。ショスタコーヴィチの第 1 番の耳の記憶で聴き始めるが、一聴して、その彫の深い表現に驚く。精緻にて惇朴、味わい深い「濃い」演奏なのだが、この曲に瀰漫する暖かな彼岸への眼差しが、むしろ無底の暗さを覗き込むような、得も言われぬ不気味さを呼び込み、驚きと感銘とが襲ってきたのである。表面的な内省性だけを醸し出す演奏の多い中で、これは見事に内容の深い録音であり、名盤に値する。得られた感興は深い。ケーゲルという指揮者の持ち味をとくと知り得たのだった。



[附記 : 990814]

思えば、ケーゲルとの真面目な出会いは、このショスタコーヴィチの第 1 番が初めてだった。しかし、その時はガラグリのために盤を買い、「ついでに」聴いただけであったから、もしカプリングが所謂「爆演」だったら、その後、ケーゲルを進んで聴くことはなかっただろう。そして、この「ドイツ・レクイエム」、その後のラヴェルの「子供と魔法」、さらに「カルミナ・ブラーナ」旧盤との邂逅により、ケーゲルに釘付けされてゆく。これがその第一歩だったのである。




2.



NEW WORLD : NW-354-2


Works by Bolcom and Wolpe
( NEW WORLD : NW-354-2 )
  1. William Bolcom : Twelve New Etudes
  2. Stefan Wolpe : Battle Pieces
Marc-André Hamelin (pf)


CBC Enterprises : MVCD1026
Leopold Godowsky
( CBC Enterprises : MVCD1026 )
  1. Chopin-Godowsky : Etude No.7, No.8, No.19 op.10
  2. Chopin-Godowsky : Etude No.19, No.31 op.25
  3. Chopin-Godowsky : Etude No.45 " Nouvelle etude "
  4. Schubert-Godowsky : Gute Nacht, Litanei, Balletmusik aus "Rosamunde "
  5. R.Strauss-Godowsky : Serenade
  6. Albeniz-Godowsky : Tango
  7. Loeillet-Godowsky : Gigue
  8. Godowsky : Passacaglia, Prelude and Fugue (B.A.C.H.)
  9. Godowsky : Etude macabre, Suite Java No.2, Suite Java No.8
Marc-André Hamelin (pf)


Hyperion : CDA66884
Piano Music by Percy Grainger
( Hyperion : CDA66884 )
  1. Judish Medley
  2. Colonial Song
  3. Molly on the Shore
  4. Harvest Hymn
  5. A Reel
  6. Spoon River
  7. Country Gardens
  8. Walking Tune
  9. Mock Morris
  10. Ramble on Love
  11. Shepherd's Hey
  12. Irish Tune from Country Derry
  13. Handel in the Strand
  14. A March-Jig
  15. The Hunter in his Career
  16. Scotch Strathspey and Reel
  17. 'The Gum-Suckers' March from 'In a Nutshell' Suite
  18. The Merry King
  19. In Dahomey
Marc-André Hamelin (pf)


Altarus : AIR-CD-9050


Sorabji : Piano Sonata No.1
( Altarus : AIR-CD-9050 )
  1. Sorabji : Piano Sonata No. 1
Marc-André Hamelin (pf)


Hyperion : CDA66874
Marc-André Hamelin plays Liszt
( Hyperion : CDA66874 )
  1. Appration No. 1 S155
  2. Waldesrauschen S145-1
  3. Un Sospio S144-3
  4. Hungarian Rhapsody No. 10
  5. Hungarian Rhapsody No. 13
  6. Hungarian Rhapsody No. 2 S244
  7. Nuages gris S199
  8. En reve
  9. Nocturne S207
  10. Reminiscences de Don Juan S418
Marc-André Hamelin (pf)


Hyperion : CDA66717
The Romantic Piano Concerto 7
( Hyperion : CDA66717 )
  1. Henselt : Piano Concerto in f minor op. 16
  2. Henselt : Variations de concert op. 11
  3. Alkan : Concerto da camera in c sharp minor op. 10-2
  4. Alkan : Concerto da camera in a minor op. 10-1
Marc-André Hamelin (pf)
BBC Scotish Symphony Orchestra
Martyn Brabbins (dir)



私はピアノ音楽が真から好きだとは言えないし、ピアノ音楽史にもそれほど明るくはないので、いい加減な感想しか申し上げられない。これらの中では、グレンジャーとソラブジのディスクが大変面白かった。グレンジャーは近年注目されている人だが、サロン風とは違った「がらくた匣」のような楽しさがあって、愉悦たっぷり、見事なリズム感と平衡感覚で弾きこなされると格別。ソラブジという作曲家については全く知らなかったが、聴き終わっての印象は、このソナタは何やらロジックのようなものが明確にあるのかもしれないと感じた。

一方、ゴドフスキーは全然どういう人かは知らない。知らぬが吉、これまた楽しく聴けたものの、とんでもなく演奏至難な曲ばかりなのでそうで... ボルコム&ウォルペ集は、アムランのピアノはともかく、その面白さがさっぱりわからなかった。また、最新盤である「プレイズ・リスト」であるが、ハンガリアン・ラプソディの 3 曲やドン・ジュアンなどは全くアムランらしさの滲み出た快演だとは思うが、今のアムランからは、まだまだバーチュオージティ溢れる作品を聴きたいものだ。なお、ヘンセルトとアルカンの協奏曲は特に面白い作品ではないが、ロマン詩情たっぷりのヘンセルトの作品は心地よい。

アムランを通して、こうしてこれまで馴染みのない作曲家や作品も多く聴いたが、全般的にアムランの演奏は毒気のない健全な空気を持っている。但し、アムランに対しては、今はどうしてもコクとか味わい深さというものよりも、冴えに冴えまくった切れ味の良さ、叩き込むようなパワーを求めてしまう。本当の穣かなピアニズムとは一線を画した次元であるだけに、今後のレペルトワールがどうなるかということと相俟って、その演奏スタイルもどう化けていくのか、とても楽しみである。



[附記 : 990814]

これを書いた当時、上記で挙げた作曲家は、愧ずべきことに、アルカンとリスト以外は知らなかったのである。まだグレンジャーすら聴いていなかった。評価も何も、ただアムランが聴きたいだけの状況で聴き進めたものである。そのお蔭で、まるで知らなかったこの界隈も、ようやく視野に入るようになったが、それでもアムランの録音の中で、実態をほとんど知らない作曲家は依然として存在するのである。




1.



Mercury : 432 718-2
Hanson conducts Bloch
( Mercury : 432 718-2 )
  1. Concerto grosso No. 1
  2. Concerto grosso No. 2
  3. Schelomo
Georges Miquelle (vc)
Eastman-Rochester Orchestra
Howard Hanson (dir)


cpo : 999 096-2
Ernest Bloch
( cpo : 999 096-2 )
  1. Concerto grosso No. 1
  2. Concertino for Flute, Viola and String Orchestra
  3. Four Episodes for Chamber Orchestra
  4. Concerto grosso No. 2
Amadeus Chamber Orchestra
Agnieszka Duczmal (dir)



アーネスト・ブロック [エルネスト・ブロッホ](1880 - 1959)は、ジュネーブに生まれ、のち美国に移住。音楽におけるヘブライ主義提唱者のユダヤ系作曲家である。以前、クーベリック& CSO によるコンチェルト・グロッソ第 1 番が気に入り、第 2 番も聴きたいと音盤を探した。ハンスン盤とアマデウス室内管盤の 2 枚を見つける。

ハンスン盤は録音が古いものの、クーベリック盤を思い出させる、実に歯切れのよく、闊達な演奏である。特に第 1 番は、アゴーギグが冴え冴えとして痛快。弦楽合奏のみの第 2 番も面白い作品ではあるが、第 1 番ほどのインヴェンションはない。演奏も力み気味。「シェロモ」は骨格のしっかりした演奏。しかし、熱っぽく濃い口のロストロポーヴィチ&バーンスタイン盤が懷かしく思われる。

反面、アマデウス室内管盤は、ハンスン盤と比べ柔弱な趣き。第 1 番は特にフレージングが柔らかすぎて、却って不思議な感覚だ。尤も、第 1 番はフレージングの妙技は必要としても、音の体質はもともと軽いのではないかとも考えられる。クーベリック盤やハンスン盤が、偶々、同じタイプの演奏であるだけかもしれない。第 2 番は表情細やかな演奏。カプリングされたフルート、ヴィオラと弦楽合奏のコンチェルティーノと 4 つのエピソードも佳曲で、私は結構気に入ってしまった。コンチェルト・グロッソを通して、各々の盤で演奏者の持ち味がよく出ている。



[附記 : 990814]

当時、この 2 盤に満足していたわけではない。後日、ブロッホのピアノ五重奏曲を聴き、第 1 番は、ハンスンもクーベリックも実は重過ぎるのではないかと再度感じた。もっと速いテンポで、反応のよくクリアな演奏もあるべきだろうと考えていた。後に、それがマリナー盤で実証された。マリナー盤が、現在のところ、私の理想に近いこの曲の響きだと感じた。

[附記 : 020414]

マリナー盤を聴いた時、多分、セルならば素晴らしい演奏ではないかと考えていた。クーベリックやハンスンのような徹底した力あるアゴーギグとマリナーのような颯恬淡たる演奏の両者が止揚されたような... セルはクリーブランド管の定期公演で同曲を取り上げているだけに、機会あれば是非聴きたいものである。





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