Bi ha Rancho ni ari / 2001. 07



ペレグリーニ : イタリア式料理の知恵
ペレグリーニ 『イタリア式料理の知恵』
[ 晶文社 : 228頁、初版 1996年5月15日 ]
[ 訳者 : 北代 美和子 ]

i パンとワインに帰れ! 基本編
ii もっと美味しく! 実践編
結論 人間らしい生活にむけて
偉大な牧神アンジェロ・ペレグリーニ [ M.F.K.フィッシャー]
訳者あとがき
レシピ索引


ファーガスン : 独奏的生活I

ファーガスン : 独奏的生活II
ファーガスン 『独奏的生活』 I・II
[ 研究社出版 : 158頁+150頁
 各初版 1996年11月5日(I)、1997年8月25日(II) ]

はじめに
前奏曲
第 1 楽章 「オードブル」
スープを待ちつつ
第 2 楽章 「スープ」
バートン・ロード51番邸−あとがきに代えて− (以上、I)


第 3 楽章 「魚料理」
食休み
第 4 楽章 「肉料理」
第 5 楽章 「家禽類ならびに猟鳥類」
附 「ソースあれこれ」
ハワードからの手紙−あとがきに代えて− (以上、II)


Jo Marcangelo : Italian Vegetarian Cooking
Jo Marcangelo : Italian Vegetarian Cooking
[ HEALING ARTS PRESS, 1989 : 160頁 ]

Introduction
01. The Italian Store Cupboard
02. Starters ( Antipasti )
03. Soups ( Minestre )
04. Pasta
05. Rice
06. Polenta and Gnocchi
07. Pizzas
08. Vegetables ( Le Verdure )
09. Salads ( Le Insalate )
10. Sauces ( Le Salse )
11. Ices ( I Gelati )
12. Desserts, Cakes and Biscuits
Index


夏である。今年は梅雨後半から、東京は既に熱帯。こういう時期は、小難しい書物や泰西古典音楽は鬱陶しいだけ。少なくとも、毎月の音盤代(に当てるべき可処分所得)は、既にデイリー・ワイン代へと転換されて了った(笑)。本まで、何故か、料理本だけ。私の生活も「電網生活以前に帰れ」と改善されつつある...


最初はペレグリーニ本。原題が「The Unprejudiced Palate」、先入観なき口蓋(味覚)。原題を見ず、単なるレシピ強化本と勘違いして買った。イタリア移民の著者(故人)は、大学教授で玄人はだしの料理人。本当のグルメとは、外食評論家ではなく、ペレグリーニや次のファーガスンのような人たちなのだと思わずにいられない。
移民体験を織りまぜながら、美国の食卓事情の偏見性、材料選びの偏頗などをこんこんと説く。最初が修辞附き理屈と長弁舌続きで退屈。読み続けるのをやめようかと思ったら、本題に入り少しずつ面白くなってきた。
著者は自宅環境を基準に、ハーブ及び野菜園と自宅醸造のできるワイン・セラーの必要性を説く。首都圏のマンション暮らしでは、そんな真似はできぬ。精々、プランタに幾種類かのハーブを育てるのが関の山。ワイン醸造の話は面白いが、佳きデイリーワインを常備しておく程度で次善(よし)としますか...
レシピというより、基本料理に対する応用力を料理人がどのようにイメージしてゆくべきかが趣旨だ。料理をしない人間が読んでも面白くはないだろう。素材選定については、料理本ではさほど触れられない話も披露される。特にコンセルヴァ・ディ・ポモドーロ(固形トマトソース)の作成方法はなるほど。
だが、この本、上梓されたのは 1948 年である。それでも、読んでいて不思議のない程、未だに美国の食卓事情が変化していない一面もあることに驚く。ただ当然ながら、現代栄養学の展開や美国以外のお国事情などがすっぽり抜けているところ、内容の古さは否めない。とはいえ、単なるレシピ集を超えた深い蘊蓄は、むしろイタリア家庭料理本来の姿が、加工食品・素材の瀰漫する現代の食糧事情を背景に如何に存するべきか、美国を例に語るところに意義がある。だがこの本、未だ 96 年初版の儘。まことに残念に思う。


次は、ハワード・ファーガスン本。原題は「Entertaining Solo」。私はこの原著は知らない。ファーガスンは英国の作曲家。ピアノ協奏曲しか聴いたことはないが、甘めのロマンに溢れ、畏友フィンジの風趣あり。だが日本での彼は、林望の『イギリスはおいしい』のブレイクにより、一躍料理人として?有名になってしまった。
家庭料理を超えた凝りに凝った料理群で、なかなか歯が立たない。プロ顔負けの料理レシピ集であるが、英国料理は案外少ない。あちこちの料理を、ファーガスン流儀で紹介するもの。スパイシーなマレーの挽肉料理「ボボテー」までレシピがあるのには驚いたが...
ところで、なぜ訳者が矢鱈と出しゃばるのか。折角のファーガスンの粋が悉皆(すっかり)萎びてしまう。訳者注はまだ許せる。だが「訳者一家言」やら何やら、一体何だというのだろう。これではアレンジである。版元の『おいしい』二匹目狙いが隠見しているものの、『おいしい』が相当版を重ねている反面、こちらは未だ初版儘。


最後に、マルカンジェロの「イタリア風野菜料理」。これは絵も写真もないが、レシピ集である。分量については、英国式と米国式の併記。丸元大先生がどこかで触れていたので買ってみたのだが、野菜の家庭料理はどの国でもレシピは豊富、また知恵が詰まっている分、実際うまい。特にイタリアは、ミネストローネを初め、豆を使う野菜料理が多く参考になる。パスタは幾つかやってみた。ポレンタは先のペレグリーニ本で初めて知った料理なのだが、いずれ試してみたい。
終わりにビスケットのレシピが少しある。最近読んだ岡本太郎『みんなイタリア語で話していた』の中の朝食風景の記述。「左手に(カフェラッテの)カップを、右手にはパンではなく卵とバターのたっぷり入ったビスケットを持って、これを温かいキャラメル色の飲み物にさっとくぐらせていただくのがこつだ」とある。そう、なぜか現地ではこれがうまいんだよなぁ... 岡本氏推奨のメーカー品を買うも良し。しかし、一度は、自分で焼いてみるか...





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