Bi ha Rancho ni ari / 2000. 06



Jamie James : The Music Of The Speheres
ジェレミー・ジェイムズ 『天球の音楽
歴史の中の科学・音楽・神秘思想』
[ 白揚社 : 352頁、第1版第1刷 1998年5月15日 ]
[ 訳者 : 黒川 孝文 ]

謝辞
はじめに
1 交響する音楽と科学
2 ピュタゴラスという名のマエストロ
3 プラトンと世界霊
4 宇宙を解明する鍵
5 ルネッサンスの音楽学者たち
6 天界の音楽とオペラの誕生
7 ヘルメス思想の流れ
8 ケプラー、ピュタゴラスになる
9 ニュートンと《魔笛》
10 ロマン派という異端者たち
11 シェーンベルクと大いなるテーマの復活
12 音楽の現在、そして未来へ
訳者あとがき
参考文献
索引



Mario Praz : MNEMOSYNE
マリオ・プラーツ 『ムネモシュネ
文学と視覚芸術との間の平行現象』
[ ありな書房 : 334頁、第1刷 1999年11月25日 ]
[ 訳者 : 高山 宏 ]

第一章 「詩ハ絵ノ如クニ」
第二章 時が真理のヴェールをはがす
第三章 メディアは多様でも構造は同じ
第四章 調和と蛇状曲線
第五章 曲線と貝殻
第六章 望遠鏡的、顕微鏡的、そして写真的構造
第七章 空間と時間の相互浸透
原註
訳者あとがき
Museum of Words開館 − 改訳口上
人名索引


Andre Chaster : Le Mythe de la Renaissance 1420-1520
アンドレ・シャステル 『ルネサンスの神話 1420 - 1520』
[ 平凡社 : 348頁、初版第1刷 2000年4月24日 ]
[ 訳者 : 阿部 成樹 ]

発見
第一部 革新 − 先頭に立つ喜び
第二部 更新 − 全体的世界
第三部 再建 − 歴史に於ける人間
栄光
満ちた時 − ローマ
訳者あとがき
図版目録
参考文献
人名索引

Andre Chaster : Le Crise de la Renaissance 1520-1600
アンドレ・シャステル 『ルネサンスの危機 1520 - 1600』
[ 平凡社 : 308頁、初版第1刷 1999年3月15日 ]
[ 訳者 : 小島 久和 ]

情熱と顕示欲
第一部 イメージと言語
第二部 南北の分離と交流
第三部 自然哲学と象徴的思考
第四部 祝祭、宮廷芸術、そして驚異
訳者あとがき
解題 高山 宏
図版目録
人名索引


腰痛。此の処、Linux 研究の為、関連網站と書籍などの渉猟が主体。

シャステル本を買う。『ルネサンスの危機』が出ていたことを迂闊にも知らず。原著は仏語。英訳本を随分長い間探索していたのだが、遂に邦訳が出て了った。シャステルの文章は、説明が凝縮された端的な文章である。基礎知識をろくに持っていないと、補注なしではとても読めない。私の興味も、美術そのものにある訳ではないので、思想史的背景を拾うために読むような人間には、結構しんどいところがある。向後じっくり。
シャステルの他の邦訳には、昔『イタリア・ルネサンスの大工房』があったが、ヴァールブルク叢書の『ルネサンス精神の深層』と『グロテスクの系譜』程度が現役だろうか。『ロレンツォ時代のフィレンツェの芸術と人文主義』邦訳が準備されていると聞く。解題で高山宏も書いているが、ヤン・コットの『シェイクスピアはわれらの同時代人』で、ルネサンス・プラトニストの様相が引用されているネタ本である。嬉しい時代だ。

その高山宏が「超碩学」の一人として高く買う、マリオ・プラーツ。プラーツの文章は、それ自体がマニエリスチックな詩興と学術の混淆で、慥かに一線を超える碩学だ。美術出版社での邦訳は買わなかったので、ありな書房のシリーズを揃えようかと思っている。「時が真理のヴェールをはがす」は、私には「したり」の論攷なり。

ジェイムズ『天球の音楽』は、もともと図書館で借りて読み、一応手許に置いておくことにしたもの。音楽を下支えする宇宙論的思想史を、かなりわかりやすく概説したもので、日本語で読める数少ない本だろう。ただ、時間軸が広過ぎ、筋も幾つか併走しているので、やや大味な展開ではある。ゆえに、科学と音楽の歴史的叙述という点では、ハント『音の科学文化史』(平松訳、海青社)の方が明解かもしれない。それはともかく、私的には、思想史的背景のない音楽の本を「読書」と位置づけるのは抵抗があるから、音楽本で載せられるのはせいぜいこの程度迄。







Bi ha Rancho ni ari / 2000. 05


Umberto Eco : L'isola del giorno prima
ウンベルト・エーコ 『前日島』
[ 文藝春秋 : 542頁、第1刷 1999年6月1日 ]
[ 訳者 : 藤村 昌昭 ]


James C. VanderKam : The Dead Sea Scrolls Today
加藤弘一 『電脳社会の日本語』
[ 文藝春秋 : 246頁、第1刷 平成12年3月20日 ]

第一章 電脳時代のS.カルマ氏
第二章 アルファベット世界への参入
第三章 国際文字コードとしての漢字
第四章 漢字制限論争の亡霊
第五章 グローバル・スタンダードをめぐる攻防
第六章 文字コードの現在
補説
あとがき


Goodenough : An Introduction to Philo Judaeus
ジェームズ・C・ヴァンダーカム 『死海文書のすべて』
[ 青土社 : 382頁、第4刷 1996年4月10日 ]
[ 訳者 : 秦 剛平 ]


第1章 諸発見
第2章 写本概観
第3章 クムラン・グループとは?
第4章 クムランのエッセネ派
第5章 巻物と旧約聖書
第6章 巻物と新約聖書
第7章 死海の巻物論争
文献紹介のためのノート
訳者あとがきに代えて
索引

Baigent, Leigh : The Dead Sea Scrolls Deception
マイケル・ベイジェント、リチャード・リー 『死海文書の謎』
[ 柏書房 : 350頁、新装版第1刷 1994年8月1日 ]
[ 訳者 : 高尾利数 ]

日本語版への序文
地図
謝辞
序文
第一部 欺瞞
第二部 ヴァチカンの代表者たち
第三部 死海文書
あとがき
原注
訳注
訳者あとがき


Yuzo Tsubouchi : Furukusai zo Watashi ha
坪内祐三 『古くさいぞ私は』
[ 晶文社 : 316頁、初版 2 刷 3月5日 ]



5 月は矢鱈と本を買う。此処に全部は挙げられない。
夜間の散歩がてら、リサイクル本屋に寄ることが増えた所為もある。しかし、本を大量に買う時期=大量の読書とはなりにくいのも事実。図書館へも随分通う。そこそこ多忙だった割に、比較的読書ができたのは、後半からの腰痛の所為である。自宅でのパソコン・タイムを可成り減じたお蔭で、読書に時間を割けた。

坪内祐三などという人を、実は知らず。某書評紙でこの本を誉めちぎっており、車中用にと買って読むが、こういう視点もありかと、この人の記憶排列の縦横振りに感服。福田恆存からジョージ・スタイナーへの道のりも興味を持ったが、年代記憶マニアぶりに加え、高校の卒業生から類型を試みる話−この話では、蓮實重彦の頭脳にも舌を巻いたが−など、抱腹絶倒。面白い人がいるものである。

アベカシス『クムラン』が文庫になったのを見、「積ん読」いた単行本を引き出し、漸く腰を上げ取り組む。抜群に面白いが、幾分、冗長でもある。P.D.ジェイムズ張りの細かな心理描写と象徴の掛け合いは、頭の良い女性の特徴なのかしら。で、記憶整理をせんと、我が家に余り揃えていない死海文書本を縦覧する気になる。ふとリサイクル本屋に寄ったところ、死海文書関係の本が結構並んでいる。ここに挙げたベイジェント&リー本の他にも数冊買う。もっと驚いたのは、岩波の『ナグ=ハマディ文書』の端本迄あったことだ。こんな類が何故こんな店に? 理由は「エヴァンゲリオン」だろうと推測。此処までやってきたのは偉いが、さすがにリタイヤしたのか、本は皆、新品同様であった。
死海文書本では、ヴァンダーカム本が、最も私には説得力のある概要だった。高尾さんの訳するものは、例の『イエスのミステリー』など、稍々想像力の世界に飛ぶ傾向なので、アベカシスの『クムラン』の最後と掛け合わす程度にしておきたい。

仕事と直接関係はないが、BTRON「超漢字」の試用からTRON概観を経て、漢字コード問題に逢着。
ほら貝」を覗くが、私には技術論はよく理解できない。その加藤さんの『電脳社会の日本語』を買い、車中で概要を勉強した。日経の論説委員である関口和一さんも「パソコン革命の旗手たち」の連載(註)の中で、歴史的に概観していた話もあるが、この問題、実に根が深いと知る。現在はユニコード安着を巡って、なおも侃諤状態であることもわかった。以前体験した、EPSON の 98互換機とNEC PC-9801 シリーズとの間の字体化けの原因が、やっと理解し得ただけでも次善(よし)としよう。

エーコの『前日島』が訳されているとは知らず、遅蒔きながら買う。流してみただけ。暫くは「積ん読く」状態であろう。アベカシスに比べると、やはり、エーコは巧者なりと改めて実感。結局、『クロフツ短編集』が面白く、小説はそちらとゴダードにシフトして了っていた。

(註)
なお、関口和一さんの『パソコン革命の旗手たち』は、大幅に加筆した上で、3 月、日経より上梓されている。先日、職場で頂戴した。(0627 補記)







Bi ha Rancho ni ari / 2000. 04

Futaro Yamada : Kore de Oshimai
山田風太郎 『コレデオシマイ』
[ 角川春樹事務所 : 270頁、第2刷 1997年1月18日 ]

第1章 近況について
第2章 食・病・死について
第3章 女性・漱石・乱歩について
第4章 歴史の中の人物について
第5章 明治について
第6章 人生について

山田風太郎年譜
全部あとがき


Saburo Nishimura : Natural History in Civilizations, West and East

Saburo Nishimura : Natural History in Civilizations, West and East
西村三郎 『文明の中の博物学』(上・下)
[ 紀伊国屋書店 : 732頁、第1刷 1999年8月31日 ]

序章 博物学と人間社会

I章 ヨーロッパ大博物学時代
II章 花開く江戸の博物学
III章 本草−博物学の延言をたずねて
IV章 西欧博物学の成立
V章 西方世界における博物学的知の流れ [以上、上巻]

VI章 博物学の黄金時代を招来したもの
VII章 西欧−博物学から近代生物学へ
VIII章 変容する江戸生物学
IX章 江戸生物学から明治の生物学へ
X章 西と東の博物学

終章 来るべき時代に

東西博物学小年表
あとがき
書名索引
人名索引 [以上、下巻]


Kazuichi Iijima : Shisocho-ki
飯嶋和一 『始祖鳥記』
[ 小学館 : 398頁、初版第1刷 2000年2月20日 ]



4 月は、前半迄ダニングを読み、半ば以降から 5 月にかけてはゴダードを集中して読破していたので、此処に挙げられるものは少ない。TBSの「王様のブランチ」で薦めていた『始祖鳥記』を早速購入し読む。これは素晴らしかった。完膚なき迄、小説の悦楽を享受。偉人に非ず、畸人の生き様。生き方も台詞も浪漫なり。読後、澄み渡る清々しさを感ず。畢竟、小説の醍醐味は人間活写そのものの豊かさだろう。

創立記念日で貰った図書券に足して、買い忘れていた西村さんの大著を購入。これは比較文明論に至る論著であり、博物学の概説史とは違う。西欧の関係は、『動物の起源論』以降、西村氏の歴史もので多く触れられた話であるので、江戸博物学と比較論を軸に読む。結論は意外に平凡な着地だったが、比較過程の中で論ぜられた位相が寧ろ興味深い。何だ彼だ言っても、斯くも大局的な視点から俯瞰・比較した博物学書物は見当たらないので、向後も重要な位置を占めるだろう。そしてこの本の背後に、山田慶兒の姿が隠見するのも、また私的には成程なことであった。

風さんのインタビュー本は、以前、職場の人間から借りて読んだが、中古本屋で安かったので買う。理由は、沢山の書架の写真が収められているからである。文字は小一時間で読める程度だが、虫眼鏡で蔵書を判別、風さんの書架に遊んでいた。それにしても、随分食い物に執着する人なのだと改めて知り、微笑む。





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